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ファッションから宇宙まで。繊維製品に強いのは福井県!
~人口10万人当たりの繊維製品製造・卸の登録件数は福井県、岡山県、石川県がトップ3に~

10月1日はネクタイの日。明治17年に日本でネクタイの製造を始めた日にちなんで日本ネクタイ組合連合会が制定しました。そして、10月26日はデニムの日。「デ(ten)ニ(2)ム(6)」の語呂合わせで、岡山県倉敷市児島の児島ジーンズストリート推進協議会が岡山のデニム製品の素晴らしさをより多くの人に知ってもらうことを目的に制定しました。他にも、シャツの日、コットンの日、靴下の日など繊維にまつわる様々な記念日があります。
 今月は、日本人にとって身近な「繊維製品製造・卸」のランキングです。

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身近だからこそ、記念日が多い繊維製品

 衣類や手さげ、スニーカーを始め、タオルや布団やカーテンなど、周囲を見回すと繊維製品にあふれている私たちの暮らし。考えてみると、体に触れるものはほぼ繊維ですね。そして、繊維には「おしゃれ」という側面も求められています。10月1日が記念日のネクタイもおしゃれに欠かせないものとして、日本ネクタイ組合連合会が2009年から「ベスト・ネクタイスト賞」を創設しています。

参考サイト:東京ネクタイ協同組合


 「デニムの日」を制定したのは、岡山県の児島ジーンズストリート推進協議会です。デニムの品質の良さから海外での評判が高まっていることや、ファクトリーブランドが続々と立ち上がっていること、ジーンズストリートの集客数が年間15万人を超えたことなどで、デニムが地域活性化にも貢献しています。

 身近な製品で日本の経済成長を支えた繊維産業ですが、中国をはじめとするアジアの発展で日本の競争力は落ちていきます。加えて、衣類への支出金額も減少。生活協同組合ユーコープの家計簿・くらし調査研究会が作成した「家計簿から見たくらしの40年」によると、総支出に占める被服費の割合は、1972年には10%だったものが、バブル崩壊の1995年以降は4%にまで下がっています。

参考サイト:生活協同組合ユーコープ


<図1>総支出に占める被服費の割合推移(1972年~2012年)


福井県、岡山県がワンツーフィニッシュを維持

 「繊維製品製造・卸」の登録件数は、この10年で3,999件から2,628件と減少しています。

<図2>業種分類「繊維製品製造・卸」の登録件数推移(2008年~2017年)


 人口約10万人当たりの登録件数でみると、1位は福井県(18.17件)、2位は岡山県(17.87件)、3位は石川県(17.40件)で、福井県、岡山県は10年以上も順位をキープ。2008年に9位だった石川県が3位にまで浮上しており、トップ10には日本海側、西日本側が多くランクインしています。


<図3>業種分類「繊維製品製造・卸」の登録件数による偏差値の都道府県ランキング(2017年)

凡例

順位
○○県
登録件数
10万人当たり
対前年順位
順位
2008年
2012年
2016年
2017年
1位
福井県
福井県
福井県
福井県
283
23.62
248
21.36
212
18.88
204
18.17

 1位の福井県は、平安時代初期に編纂された「続日本紀」の中で、全国有数の絹織物産地として位置付けられていたほどの歴史があります。産・学・官・金が連携して県内企業の組織・ネットワークを活かした研究開発力体制の構築と新たな事業創出を目指してスタートした「ふくいオープンイノベーション推進機構」では、これまで培われた織り技術を応用し、炭素繊維複合材料で新たな展開を目指すプロジェクトが進行中。糸を撚り合わせたり、組み合わせたりして網状の透かし模様を入れるレースは、様々な製品に使われており、インナーウェア用レースとしては、国内シェアNo.1を誇るタケダレースがあります。

参考サイト:「実は福井の技」タケダレース

女性用下着のレースは、国内だけでなく欧米、アジア諸国にも販売されており、世界でもトップクラスの生産量を誇る。







 2位の岡山県は、平成26年工業統計調査によると学生服生産量日本一であり、国産ジーンズ発祥の地でもあります。

ジーンズ発祥の地であることから、「くらしきタウンページ」の表紙にはジーンズがあしらわれています。
















江戸時代中期に児島湾を中心に干拓事業が行われ、土地の塩分を吸収するために綿花が栽培されたことで繊維にまつわる技術が発展、厚手で丈夫な学生服の量産に成功。ジーンズでも世界的な評価を得ています。染色、生地からデザイン、生産、仕上げまで一貫生産のインフラが揃っており、ジーンズの豊和では、繊維を傷めずにインディゴを焼くことで痛みの少ない「ダメージ加工」が可能なレーザー加工技術を開発しています。

参考サイト:豊和


 3位の石川県は、合成繊維織物では約3割の全国シェアを占めています。自前の商品開発や産業資材・環境・医療・農業など非衣料品分野でのビジネス、産官学の連携を強めたクラスター事業を展開するなど、全国から注目される取り組みを行なっており、世界最軽量の極薄素材で織られたオーガンジー「天女の羽衣」を開発した天池合繊があります。

参考サイト:天池合繊


SF小説が現実に?進化する繊維産業

 「停滞・衰退」といった形容をされることも多かった繊維業界ですが、例えば衣類に限っても、昨今の進化はめざましいものがあります。暑い時期には汗をかいてもベタつかず、涼しさも感じさせてくれる繊維、寒い時期なら体から発散される汗を利用して熱に変える繊維など、すでにおなじみの商品もたくさんあります。他にも燃えにくい素材を入れて難燃性を高めたり、生菌剤を入れることで菌の繁殖を防ぐなど、繊維はインテリジェント化しているのです。


 繊維産業全体で見るとこの傾向はさらに顕著で、特に「強い・伸びにくい・軽い」などの特徴を持つスーパー繊維と言われる高機能・高性能繊維は、世界的にも日本がリードしています。NASAの火星探査機着陸用エアバッグやJAXAの小惑星探査機はやぶさの衝撃保護部に採用されたのは、クラレが世界で初めて工業化したもの。他にも防護衣料や耐切創手袋、航空機や高速鉄道の資材にもなるスーパー繊維などが、多数生産されています。


 また、今年の1月には、北海道大学で金属より強靭でありながら、曲げやすく柔軟な複合材料「繊維強化ゲル」も開発されました。ガラス繊維からなる織物を多量の水分を含ませた「ハイドロゲル」と複合させることで人体との親和性が高まり、再生医療や人工組織など医療材料として期待されています。


 かつて、日本の経済成長に大きく貢献してくれた繊維製品製造。蓄積した技術を生かしながら全く新しい分野に挑戦している姿勢を見ていると、経済のけん引役を担うにふさわしい頼もしさを感じます。繊維製品は、これからも日本を支える産業として、大いに期待できますね。

【調査概要】
都道府県別 人口約10万人に対する業種分類「繊維製品製造・卸」の登録件数分布及び年別の推移を掲載します。

対象期間と抽出方法:2008年・2012年・2016年・2017年の各3月時点で、タウンページデータベースの業種分類「繊維製品製造・卸」に登録されている件数を集計し算出。
1人当たりの登録件数は、小数点以下数桁になるため10万人換算をしています。
掲載情報は2017年9月時点のものです。